お中元のシーズンがやってきました。
あなたの贈答品は先様に喜ばれていますか?逆に毎年もらって困っているものもあるのでは?日頃の感謝がお互いに伝わるお中元選びの心得を、関西作法会会長の田野直美さんに聞きました。
お中元は、陰暦の中元(7月15日)と仏教の盂蘭盆会(うらぼんえ)が結びついたもの。
祖先の霊をまつり、親類がお互いに訪問しあって交流を深め、食べることを意味してお供えものを贈ったのが始まりです。
その習わしから関西は7月1日~8月15日、関東へは7月15日までに贈ります。
日頃の付き合いに品選びのヒント
先方の家族構成、年齢、性別、職業、趣味などを考慮し、相手をイメージしながら選ぶのが大切。
これらの情報を得ているかどうかは日頃の付き合い方次第です。
人間は思いのほか自分中心で過ごしていますから、人の話は右から左に聞き流しています。
よく話す相手でも、好みなど案外思い浮かばないものです。まずは普段の何気ない会話から、相手のことを知ることです。
例えば、私がいただくお中元の多くは、好きなお酒やビール券。会話や食事を共にした際の飲みっぷりを見て、選んでくださるようです。
日頃買えない各地方の銘酒など、毎年楽しみにしています。
お酒を避けて、豪華な風呂場用マットをくださった人もいます。洗い替えするものなので、うれしかったですよ。
受け取った後まで考慮して
好物でも、贈る数量にも考慮が必要です。
甘党の夫婦2人のお宅にようかんを50個贈るより、豪華1点主義にして、おいしく食べてもらう方がいいですね。
お中元の多い人に贈る場合も、どんな品をもらっているかや、保存・管理の手間に配慮を。なまものなど冷蔵庫を占領するものは避けるべきです。
亡き父の現役時代に固形せっけんをたくさんいただきましたが、消耗が遅く、箱がかさばり、置き場所に困りました。
私が贈るのは洗濯洗剤。消耗品で、買いに行くと重いため、喜ばれています。
どうしても先方の好みが分からない場合は、こうした好み分けの少ない無難な消耗品がいいでしょう。
目上の人に、直接肌につけるものを贈るのはタブー。ただし、基本は相手の喜ぶもの。紳士用靴下などは重宝しますから、心やすい人ならあまりこだわらなくていいでしょう。
でも先様の情報がわからない場合は、無礼に受けとられる可能性があるので避けましょう。
気持ち伝えて互いの思い大切に
お医者さんに止められている飲食品が毎年届くような場合、伝えても気を悪くしないと思われる人には付き合いの中でやんわりと伝えましょう。
その方がお互いの思いが無駄になりません。自分が贈ったものが喜ばれているかどうかは、お礼状にもヒントがありそうです。
うれしい贈りものには、喜びや感想などプラスアルファのコメントが書き添えられています。
人とのコミュニケーションこそが贈答のだいご味です。
アサヒファミリー 2002年6月28日 掲載