結婚式シーズン到来。
2人の門出を祝う披露宴は、参加した人みんなが祝福、幸せを分けてもらえるようなすてきなものにしたいですね。
伝統やしきたり、行事の意味をしっかり理解し踏襲しながらも、時代の変化にも合わせた“いま流の冠婚葬祭・マナー”を考える「しきたり歳時記」。
1回目は花嫁の3人に1人ともいわれる「できちゃった婚」の祝い方について、関西作法会会長の田野直美さんに聞きました。
まだまだ気にする年配者
できちゃった結婚が増えています。
いまや何事もオープンな時代、みんなが幸せならそれで良し、と新郎新婦はへっちゃらです。
その通りですが、実際には参列者が心から祝福できる式や披露宴は少ないのです。
理由として一番多いのは、両親や親戚縁者への配慮を欠いたスピーチ。 いくら婚前交渉は当たり前の時代とはいえ、実際はきにする年配者はまだまだ多いのです。
両親と親戚との関係にもよりますが、赤ちゃんができたことを黙っている場合がほとんどです。
それなのに「新郎新婦、結婚おめでとう」や「これからは3人で・・・」といった友人のスピーチで“できちゃった”ことを初めて知らされるケースがあります。
披露宴の間中、両親は冷や汗ものです。
披露宴の最後に本人たちから・・・
たとえ知らせていたとしても、不快に思う人がいたら、式ではタブーにして2人の結婚だけを祝うこと。
友達にスピーチや司会を頼むときは、事情を伝えて配慮してもらってください。
赤ちゃんのことは披露宴の最後に本人たちの口から伝えるのがいいと思います。
スピーチで新郎新婦の姓を呼び捨てにしたり、2人にキスさせたりするのも問題があります。
呼び捨てにされた同姓の親戚は不快に思いますし、キスは新婦のお父さんには不愉快。 会場内で見てみぬふりをして所在なげなお父さんの姿を見かけます。
友人同士の楽しい宴は二次会にとっておきましょう。
スタッフには必ず伝えて
親戚には内緒でも、会場のスタッフには必ず伝えておいてください。
妊娠2ヵ月くらいなら目立たないし大丈夫という若い人がいますが、妊婦は体調が日々変化しますから、式当日、予約していた衣装が着られず、指輪も合わない。 結局、気に入らない衣装を着るはめになったり、披露宴中に体調が悪くなる人もいます。
対応するスタッフは大変。多くの人に迷惑がかかります。 本人たちのマナーとしては、集まってくれる人みんなに気持ちよく祝ってもらえるよう配慮する心づかいが大切です。
生まれてくる子も祝福される式にしたいものですね。
アサヒファミリー 2002年4月19日 掲載