今回は、クッション言葉を添える柔らかな表現についてお伝えいたします。
クッション言葉とは、命令や拒否等の言葉を柔らかな印象で伝えるために添える「恐れ入りますが」「お手数をおかけいたしますが」等の添え言葉です。
例えば、飲食店の店頭で「少し、待ってください」「ここに名前を書いてください」と言われたなら、不快に感じますね。
「恐れ入りますが、少々お待ちくださいませ」「お手数をおかけいたしますが、お名前をお書きいただけますでしょうか」とのクッション言葉を添え、語尾を依頼形や助動詞添え等の柔らかな表現で言われると受け入れやすく感じます。
同様に日常生活でもクッション言葉の活用で、より友好な人間関係を築くことができます。
依頼やお誘いをするときに、「申し訳ございませんが、~いただけませんか」や「よろしければ、~なさいませんか」等の言い方をすれば、相手に柔らかい印象で伝わります。
親しい間柄では、「恐れ入りますが」「申し訳ございませんが」「よろしければ」等の改まった言葉でなくとも、「悪いけれど」「良かったら」「手数をかけるけれど」等の日常の言葉でも構いません。
相手に対して、配慮のひと言を最初に添えると良いのです。
ただし、この添え言葉は、あくまでも相手の気持ちへの配慮がストレートに伝わる言葉を選びましょう。
『物は言いよう』との言葉がありますが、同じことを伝えるのにも、言葉選びを間違えると相手に与える印象が大きく違います。 お菓子を勧められたときに、「欲しいなら、どうぞ」と言われるのと「良かったら、どうぞ」と言われるのとでは、言われた側の気持ちも返答も変わります。
「欲しいなら」では「(物欲しいそうにしたわけではないのに)要りません」と断りたくなりますね。
「良かったら」なら、「ありがとう」と頂くか、「あいにくお腹がいっぱいで、お気持ちだけ頂きます」と断るのではないのでしょうか。勧めた側も「要りません」との応えには、「せっかく勧めたのに」との不満が残ります。
これでは、友好な人間関係が築かれるのは難しいですね。
クッション言葉は、相手の状況や気持ちに配慮し、柔らかな印象にするために添える言葉であるということを意識なさると良いでしょう。
そして、クッション言葉で始めた会話は、「ありがとう」「楽しみです」「機会があればお願いします」などの感謝や配慮の言葉で話を締めくくるとより友好な人間関係に繋がります。
ほっかいどう福祉だより「しあわせ」 2014.Summer Vol.99 掲載