持ち歩いていつでも気軽にかけられる携帯電話が普及して、電話の対応もお気軽になっていませんか?
電話をかける際のマナーを、関西作法会会長の田野直美さんに聞きました。
相手の状況を考慮して
相手が目の前にいるつもりで、思いやりある対応を心がけましょう。
電話は相手の生活にいきなり入り込む侵入者。相手の状況を考えて、一般家庭なら早朝や食事時を避け、夜9時くらいまでにしましょう。
会社にかける場合は、月初めや月末、五十日(ごとび・5と10のつく日)、月曜日の午前中や朝の始業時、夕方の終業時などは避けるべきです。
最初に名前と用件を告げて
最近は、悪徳セールスなど不審な電話が多くかかってきます。
かける相手を不安にさせないためにも、最初に身分を明らかにし、悪意がないことを伝えてあげるべきです。
最初に自分の名前を名乗り、どんな用件でかけてきたかを簡単に告げ、話したい相手の名前を言って電話口に呼び出してもらいましょう。
そして「いまお電話いいですか?」と相手の状況を気遣うひと言を忘れずに。
用件を簡単明瞭・的確に伝えるために、結論から話し始めます。かける前に、言うことや聞くことをまとめておくといいでしょう。
「あのー」などクセになっている言葉を繰り返さないよう注意しましょう。
相手が留守の場合、「後でかけ直します」と電話を切ったまま、かけ直さない人も多いですが、約束したら、必ずかけ直しましょう。話が聞き取りにくいときは「お声が小さくて…」より、「お電話が遠いようでございます」と、もう一度繰り返してもらいます。
途中で電話が切れたら、かけた方がかけ直すのが原則です。切るときも、かけた方から切りますが、相手が目上や取引先の場合は、相手が切ってから静かに受話器を置きます。
名乗らずに受けてもOK
受ける場合、受話器をとって「はい、もしもし」は本来はタブーです。
これは通信感度が悪かった時代、かける側が「申し上げます、申し上げます」と声が届いているかを確認するために使った言葉です。知人や大切な人からの電話には「はい、○○です(ございます)」と簡潔に受けましょう。
ただし、いまはどんな電話がかかってくるかわかりません。
口調は丁寧でも何だか怪しい電話もあります。防犯の意味でも受ける側は必ずしも名前を名乗る必要はありません。特に留守番をするお子さんには名乗らないよう、教えてあげたほうがいいでしょう。
アサヒファミリー 2003年6月27日 掲載